香川1区

2月の「映画の日」にキネカ大森で『香川1区』を鑑賞しました。今年初の映画館での鑑賞です。
「映画の日」だと鑑賞料金が1,900円➡1,200円となるのでだいぶお得です。かつては「映画の日」というと1,000円というイメージでしたが、世界の中で日本の映画料金が高いのは相変わらずです。
『香川1区』は、ロングラン大ヒットしたドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』の続編的な作品。昨年の衆議院議員選挙における立憲民主党・小川淳也の奮闘、宿敵三世議員である自民党・平井卓也との対決を前作以上に深部まで鋭く描いた一本である。
小川が民進党前原グループに身を置いていた"しがらみ"で「希望の党」から立候補した2017年度選挙に焦点を当てた前作。本作では前作の"苦悩"(民進党解党、希望の党の失速、内なる敵となった小池百合子の存在など)から小川は解放されて、スタッフも家族も支持者も同じベクトルでアグレッシブに選挙を戦う。全国からボランティアスタッフがたくさん集まり、SNSも取り入れた手弁当の草の根選挙も格段にブラッシュアップされていて進化を感じる。また、本作のもう一つのテーマとも言える小川の家族の足取りも見どころ。良妻賢母の奥さんは夫唱婦随で前作より貫禄もついてきてさながら私設秘書のようなイメージ、2人の娘さんは社会人になって応援活動に参加。2人で支持者とともに小豆島で応援活動するほどに成長されて、ご本人たちの意識の変化も感じさせる。小川の最大の理解者であるご両親も健在。選挙戦の勢いは小川にあり・・・だったのだが、総理大臣になるべき男は"選挙区で当選する"ことがマストであり、そこに罠が張り巡らされる。維新の会から突然の立候補予定者(小川の盟友・玉木雄一郎の元秘書というオチ)の出現、票が割れる恐怖、野党候補一本化の視点から立候補辞退を交渉する小川、この話し合いを維新・音喜多がすかさずSNSにアップしてバッシング、対立候補の自民党・平井はオーナー企業の四国新聞を使って再三小川を糾弾する。実際は自民党県連の方が先に立候補辞退を迫っていた事実があったのだが、そのことは一切報道されることなく小川は一気にピンチに陥った。"野党がまとまらなければ政権は取れない"という小川の生真面目さと人を疑わない純朴さが招いたピンチだったが、小川の両親がとてもよくわかっていて「相手が維新というのをわかって対応しなければならない。相手の仕掛けに乗らずに、維新は無視せなあかん。息子は"鈍感力"に欠けている」という指摘が的を得ていた。ただ小川はここでブレずに愚直に地元での訴えを重ねて選挙戦終盤へ。地盤もカバンもメディアも抱えている"世襲議員の権化"平井卓也も劣勢を感じて、小川バッシングを加速。映画の取材班もたびたび自民党支持者の妨害に遭うことに。選挙当日・・・、深夜遅くに開票結果が出た前回と違い、今回は開票と同時に小川に当確が出た。盛り上がる選挙事務所、娘さんのコメント「お父さんを見ていて、社会に出たら正直者は馬鹿を見る。幼い頃からずっとそう思って育ちました。しかし今日その思いはいつか届くんだと。信じさせてもらうことができました。」が胸を打つ。小川は勝ち、立憲民主党は負け、その後の党首選に立候補した小川は3位に終わる。"与党であることが最大の存在理由"である自民党に野党はまとまって勝てるのだろうか、とストレートに自問自答させられる本作。党の存続と選挙のために平気で総理が政権を投げ出し、支持率が落ちれば党首の首を挿げ替えて何事もなかったようにリセットする。自民党の地方選挙の泥臭さ、地域に深く染み込む地縁や予算配分などの締め付けなどこの国が変わっていないことを痛感させられる。加えて自民党のコインの裏のような存在で、翼賛的な脅威となっている維新の存在。選挙の醍醐味、面白さとともに今の日本の現実を突きつけられる見事なドキュメンタリー映画でした。
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