
1992年作品。ムービープラス放映の録画を連休の合間に視聴しました。
ニューヨークの不動産会社を舞台にセールスマンの悲哀を描いた群像劇。原作はデヴィッド・マメットのピューリッツァー賞文学賞を受賞した名作戯曲『グレンギャリー・グレンロス』。デヴィッド・マメットというと個人的にはFOX作品の『ザ・ワイルド』(アンソニー・ホプキンス主演のサバイバル・アクション)の脚本を思い出す。
この作品、なんといっても豪華なキャストが目を引く。ジャック・レモン、アル・パチーノ、アレック・ボールドウィン、エド・ハリス、アラン・アーキン、ケビン・スペイシー、ジョナサン・プライス。今の映画でここまでの名優は集められないだろう。
90年代前半なのでまだVHSビジネスの時代。当時、販社は、レンタル店やマスコミ向けにVHSのサンプルビデオを作って事前に配布して売り込んでいたのだが、この作品を取り扱っていたポニーキャニオンが作ったサンプル版が痛快だった。サンプル版限定で、なんとこの豪華なキャスト陣の吹替えをポニーキャニオンのお偉いさん方が担当して、サンプル版のジャケットの俳優の写真を彼らに挿げ替えたバージョンで作ったのだ。
作品の著作権やリーガル事項にうるさい今ではそんな荒唐無稽なことは到底できないのだが、当時はあくまで"インナー目的"という大義名分でちょっとした「なんでもあり」なプロモーションも多かったのだ。古き良き時代。
最初、このサンプルを目にしたときは思わず笑ってしまったのだが、企画の意外性には惚れ惚れしました。
当然、ポニーキャニオンの役職者の皆さんはプロの声優ではないので、再生すると滅茶苦茶な素人吹き替えで大笑いだったのですが…
そんなお笑いの吹替えとは正反対に映画自体はシリアスなほろ苦いドラマ。とにかくキャスト陣のキャラクターがしっかり引き立っていて、引き込んでいく。最後はちょっと切ない。
不動産ビジネスの裏側と現実、成果主義の営業マンの辛さなどなど、身につまされる場面もしばしば。
一見の価値ありの1本です。
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