ずっとDVD化されずに眠っていた松竹の佳作『皇帝のいない八月』をたまたまサイトで見つけた。何と昨年DVD化されていたではないか。さすが松竹、まったく宣伝しないから・・・コアなユーザーも全然知らないと思います。私もこの作品が好きな知人に聞いたら昨年のハイビジョン放送は知っていたがDVD化は知らなかったとのこと。

皇帝のいない八月


監督:山本薩夫
出演:渡瀬恒彦、山本圭、吉永小百合、滝沢修、佐分利信、高橋悦史
1978年作品

自衛隊のクーデターを描いた小林久三原作の映画化。松竹としては当時超大作として打って出た作品だが、それほどヒットはしていなかったと思う。
「2.26事件」の青年将校さながらのある意味純粋な国粋思想の渡瀬恒彦とそのクーデターを利用して覇権を争う政治家の駆け引きが良く描かれている。
今見ると、荒唐無稽なストーリーに思えるのだが、当時はリアリティがあったな。
なんと言っても、少数派閥の首相が内閣調査室(CIAみたいな部署)を駆使してクーデターを利用して主流派の首領を闇に葬るところが空恐ろしい。

DVDのジャケットはさすが松竹・・・まったくセンスがありません、この会社は。
廉価で出ているので、好きな方にはお薦めです。

下記サイトがいちばん作品をよく分析している。要は「突っ込みどころ満載」の作品なわけだ。私もつくづく感じるのは、こん杜撰なクーデター計画はないよな、というところかな。
途中、各地域の反乱部隊の鎮圧がテロップのみで延々と報告される。しかしエリート将校の特に空挺団の鎮圧だったら、ものすごい空中ドッグファイトが日本の空であったのではないか、なんて思ったりするのだが物語りは淡々と進んでいくのだ。
それでもこの作品が愛されるのは、カルトならではなのかもしれない。

詳しくはこちら。